一般国道499号以下宿町・道路法面崩壊災害/「地域の守り手」8日間の軌跡/~早期交通確保を実現した官民連携と地場建設業の力~
2026年08月19日(水)
特集記事
5月9日深夜―。長崎市以下宿町の一般国道499号で、突如として道路法面が崩壊した。これを受け、長崎振興局は大規模災害支援協定に基づき、(一社)長崎県建設業協会長崎支部と(一社)長崎県地質調査業協会に協力を要請。当初、片側交互通行による交通開放まで約2週間を要すると見込まれていたが、行政や関係機関と連携した地場建設団体・企業の迅速な応急復旧により、全面通行止めからわずか8日後の5月18日に片側交互通行を実現した。今回は、早期の交通確保に尽力した地場建設団体・企業の取り組みを振り返る。
機動力と技術が導いた応急復旧
■発災直後から迅速対応
5月9日深夜、長崎市以下宿町の一般国道499号で道路法面が崩壊した。崩壊規模は延長約20㍍、高さ約27㍍、奥行約3㍍、崩壊土量約100立方㍍に及んだ。幸い人身・物損被害はなかったものの、崩落した土砂が道路全面を覆い、交通は完全に途絶えた。
県は10日午前0時06分から前後約500㍍区間を全面通行止めとした。長崎市街地から野母崎地区への通行は、県道野母崎宿線、県道深堀三和線への迂回を余儀なくされ、一夜にして地域の交通機能は大きく損なわれた。住民の日常生活をはじめ、観光や物流など地域経済活動にも大きな影響が及んだ。
発災直後、県は大規模災害支援協定に基づき、(一社)長崎県建設業協会長崎支部(武藤剛支部長)と(一社)長崎県地質調査業協会(西山勝一理事長)に協力を要請。両団体は直ちに協同現地調査を実施し、早期の通行止め解除に向けた応急復旧工法を検討した。
11日は㈱上滝が応急工事に着手し、㈱アースとアイ総合技術㈱が被災箇所の調査を開始。12日以降は仮設防護柵の設置に向けた作業やドローンによる崩壊箇所及び前後区間の斜面確認、基礎工事、安全対策を順次進め、17日に安全確認を実施した。
地質技術者による調査結果を踏まえ、地場建設企業が厳しい現場条件の中で機動的に応急復旧を実施。行政や関係機関との円滑な連携も相まって、当初約2週間と見込まれていた片側交互通行による通行再開は6日間前倒しされた。5月18日午前6時には、全面通行止めからわずか8日で片側交互通行による通行を再開し、規制区間も約200㍍まで短縮。地域の交通機能の早期確保につながった。
■施工と調査、それぞれの役割
県建設業協会長崎支部から工事に当たったのは㈱上滝(上瀧満代表取締役)。共同現地調査を踏まえ、崩壊箇所の安全確保に向けて、仮設防護柵の設置のための掘削作業(写真1)や基礎工事(写真2)を進めた。16日までに高さ3・0㍍の仮設防護柵を設置するとともに、大型土嚢32袋を配置し、崩壊箇所周辺の安全対策を完了した(写真3)。
県地質調査業協会からは㈱アース(石坂善治代表取締役)とアイ総合技術㈱(大場博隆代表取締役)が現地の調査を担当。省力化と正確性を目的としたドローンによる被災箇所の写真測量や3次元データ取得などを実施し、県が公表している県土全体点群データ『オープンナガサキ』に反映することで、崩壊前後の斜面横断を可視化。写真測量および横断図での迅速な被災規模把握(崩壊土量算出や地質判読)が、振興局との円滑な情報共有を実現し、的確な崩壊メカニズムの解析および応急復旧工法の検討につながった。また、崩壊上部の亀裂拡大の恐れがあるため、地盤伸縮計と監視カメラによるリアルタイムの観測体制を整え、二次災害防止にも貢献した。
崩壊原因の究明から全面復旧への歩み
■崩壊のメカニズムを探る
現地調査の結果、法面を構成する岩盤は長年の風化によって亀裂や節理が発達し、特に斜面上部では岩盤の劣化が著しく進行していたことが判明した。さらに、発災数日前の降雨により亀裂内へ雨水が浸透したことで斜面の安定性が低下し、節理面に沿って岩盤が崩落したものと推定されている。
岩盤の崩落に伴い、既設の覆式落石防護網は破損・脱落し、落石防護柵も損壊した。
■全面復旧へ向けて
県においては、現在は片側交互通行規制を継続しながら、本復旧に向けた測量、地質調査、設計を進めている。今後は詳細な調査結果を踏まえ、安全性と耐久性を十分に確保した復旧工事を実施し、一日も早い全面復旧を目指している。
なお、7月28日午後4時27分頃に発生した「令和8年熊本地震」を受けて県は、震度4以上を観測した市町内の管理道路の緊急パトロールを実施。以下宿町の被災箇所もパトロールおよび監視カメラ等で「変状無し」を確認した。
県は引き続き、的確な情報収集・発信に努めていくとしている。

















