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【インタビュー】長崎県知事・平田研氏に聞く/地域を残すため県土強靱化推進

2026年08月19日(水)

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人物

平田知事

 国土交通省で河川、防災、まちづくりなど幅広い分野の要職を歴任し、長崎県副知事も5年間務めた平田研氏。ことし3月に長崎県知事に就任した平田氏に、人口減少や厳しい地理的特性、自然災害の激甚化・頻発化、物価高騰など山積する課題にどう立ち向かおうとしているのか、話を聞いた。


人口減少に左右されない基盤づくり


― 国土交通省で培った経験や知見を、今後の長崎県政のかじ取りや政策立案にどのように生かしていきますか。


 「国土交通省でインフラ整備やまちづくり、長崎県の副知事として県内全体を見渡す仕事など、これまで34年間でさまざまな仕事をさせていただきました。本県は全国平均よりも人口減少のスピードが速く、多くの課題がありますが、人口減少に左右されない地域経済の基盤をつくり、安全・安心に暮らせる地域社会を残していくためには、県土強靱化や交通ネットワークの充実などのインフラ整備が重要であると考えております。このため、これまでの仕事で培った知見や経験、人脈などを最大限に活用しながら、生まれ育った長崎県を前進させていけるよう努力してまいります」


― 国土強靭化実施中期計画や6月補正予算案を踏まえ、今後の社会資本整備や防災・減災対策をどのような考えで進めていきますか。


 「本県は、半島・離島が約7割を占めるなど、県土の多くが条件不利地域となっており、そこに県人口の3分の1に当たる約40万人が生活しています。また、全国2位の土砂災害警戒区域を抱えるなど厳しい地理的特性を有しており、大規模自然災害が発生すれば甚大な被害となることが懸念されます。ことしの梅雨時期には、県北部で線状降水帯が発生するなど、県内各地で何度も警戒レベル4相当の大雨危険警報や土砂災害危険警報が発令されており、いつ大規模災害が起きてもおかしくない状況が続いています」


 「こうした厳しい条件の中、人口減少に左右されない持続的で強靱な経済基盤をつくり、地域を残していくためには、激甚化・頻発化する自然災害から県民の生命・財産・暮らしを守る県土強靱化、交通ネットワークの充実が重要と考えています。このため、『第1次国土強靱化実施中期計画』の予算をはじめとする公共事業予算を活用し、河川・砂防などの防災インフラの整備、道路・港湾・空港などの交通ネットワークの強化、インフラの老朽化対策に注力し、県土強靱化を強力に推進してまいります」


高規格道路・港湾整備を加速


― 離島・半島地域を多く抱える長崎県において、広域幹線道路ネットワークや港湾整備など、今後重点的に取り組むべきインフラ整備の方向性をどのように考えていますか。


 「道路整備については、力強い産業の育成や交流人口の拡大などによる地域活性化を図るとともに、強靱な県土づくりを進めるため、人流・物流を支える道路ネットワークである西九州自動車道や島原道路、西彼杵道路、長崎南北幹線道路、長崎南環状線などの高規格道路を重点的に整備しております。しかしながら、県内の高規格道路は計画延長の約3割が未だにミッシングリンクであることから、引き続き、高規格道路ネットワークの早期完成に向け、整備を重点的に進めてまいります」


 「また、港湾整備については、岸壁整備などの港湾機能の高度化を進めることにより、周辺地域の利便性が高まり、新たな企業進出や雇用の創出につながっています。今後も地域の基幹産業などのニーズを踏まえながら、港湾施設の機能向上を図ってまいります。さらに、離島・半島地域が持つ豊かな自然や歴史・文化といった観光資源を活かし、交流人口の拡大と観光消費の増加を図るため、クルーズ船の受入環境の整備や受入体制の強化を推進する必要があります」


 「このように、離島・半島地域を多く抱えている本県において、県民生活や地域経済を支える人流・物流ネットワークの基盤となる高規格道路や港湾の整備は、地域を残していく上で極めて重要だと考えております」


― 資材価格の高騰や労務費の上昇が続く中、公共工事の円滑な発注や適正な事業執行に向けてどのように対応していきますか。


 「資材価格や労務費が高騰を続けており、実質的な事業量の確保が難しくなっていることについては、本県としても強い危機感を持っています。このため、資材価格高騰の折でも、計画的かつ安定的に事業を進められるよう、2025年度補正予算と2026年度当初予算を合わせた規模を上回る予算を継続的に確保することなどについて、6月と7月に国土交通省や財務省など関係省庁へ要望してまいりました」


 「今後も機会あるごとに、国に対して、地域の実情を丁寧に訴えながら、資材価格が高騰する中でも、実質的な事業量が目減りすることのないよう、必要な予算の確保を強く要望してまいります」


地域特性を熟知した地元建設産業が不可欠


― 最後に、地域に根付いて活動している地元建設産業に対してメッセージをお願いします。


 「地域の建設産業は、『地域の守り手』という非常に重要な役割を担っていただいています。5月に発生した国道499号の法面崩壊では、大規模災害支援協定に基づき、長崎県建設業協会と長崎県地質調査業協会に、現地調査や交通開放に向けた応急対応にご尽力いただきました。迅速かつ機動的な対応により、当初の想定を上回る早期の通行止め解除につなげることができました。あらためて関係者の皆様に心から感謝申し上げます。本県は災害リスクが高く、地域特性を熟知した地元建設産業の皆様の力が不可欠です。今後とも引き続きご協力をお願いしたいと思います」


 「一方で、建設産業の皆様には、災害時だけ役割を担っていただくというわけにはいきません。地域のインフラ整備を担う上でも欠かせない存在であり、その力を維持していただくためには、平時の公共工事の事業量を安定的に確保することが重要です。県としても、皆様と良好な協力関係を築きながら、地域を支える産業として持続的に発展できる環境づくりに努めていきたいと考えています」



【略歴】ひらた・けん
 1991年 東京大学法学部卒、同年 建設省入省。国土交通省で道路局路政課長、土地・建設産業局建設業課長、大臣官房総括審議官、不動産・建設経済局長を歴任したほか、復興庁統括官を務めるなど、国の幅広い分野で要職を担った。一方、地方では秋田県産業経済労働部観光課長、同県総務部次長、長崎県副知事を歴任するなど地方行政の経験も豊富。2026年3月に長崎県知事に就任。




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