【インタビュー】本明川ダム工事事務所・山村昭一郎所長に聞く/32年度完成へ本体工事着実に
2026年08月19日(水)
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2025年2月に本体工事に着手した本明川ダム建設事業。試験湛水を含む32年度の事業完了を目指す中、今年4月に九州地方整備局本明川ダム工事事務所2代目所長として、山村昭一郎氏が就任。本体工事および地域との連携など、就任の抱負を聞いた。
「転流工・基礎工事が本格化」
■就任抱負
開口一番、「完成に向け地元の皆さまのご意見を伺いながら、安全を第一に着実に事業を進めていきたい」と強い思いを語った山村所長。
着任前は、内閣府地方分権改革推進室で参事官補佐として約2年間勤務。地方自治体が国へ制度の改善や権限移譲を直接提案できる「提案募集方式」について、地方自治体に対して制度説明や研修講師として周知に努めてきた。また、92年の入省以来、九州地方整備局管内の河川関係部署を中心に勤務し、鹿児島県薩摩川内市役所への出向も経験。国と自治体の双方で地域行政に携わってきた。
「ダム事業は先祖代々受け継いできた土地を譲り、移転という苦渋の選択を受け入れてくださった地元の皆さまの協力があってこそ成り立っている。また、ダム下流域には治水効果があるが、ダム周辺に住む方々にとっては直接的な効果を感じにくい面がある。そうした方々の協力を十分に認識し、工事に伴う騒音や土砂搬出時の交通安全などには一層配慮して取り組んでいく」。
「5月には大規模な総合水防演習、7月には富川源流祭ならびに本野地区合同追悼法要、万灯川まつりなど、地元の災害への意識の高さがうかがえる。本明川は治水だけではなく憩いの空間という一面もあることから、ダム周辺の利活用についても本明川ダム工事事務所だけではなく、関係者が一体となって進めなければならない重要課題。当然だがダムは、完成後の期間が長いため諫早市をはじめ地元の皆さまと話し合いながら〝地域に愛されるダム〟にしていきたい」と抱負を述べた。
■28年度CSG打設へ
本体着工から約1年半、現在の整備状況を尋ねると、既存河川を切替える転流工とダムの基礎掘削工を挙げ「転流工は右岸側の一次転流工を最初に行い、左岸側の基礎掘削および基礎処理に着手した。現在は左岸側の二次転流水路の工事を進めており、27年3月の完了予定。今後は二次転流工完了とともに、右岸側の基礎掘削と基礎処理に着手し、28年5月頃までに河床部の基礎処理を全て終える計画」と回答。
続けて、堤体工について28年度のCSG打設開始を示した上で、「ダム本体に使用する岩石は母材山で採取するため、採取場所までの進入路を今月から造成し始める予定。現段階では、27年2月~3月ごろに材料採取を始める見込み」と述べた。
いずれも本体工事に含まれる工事とした上で、「このほか、ダム完成後に水を放流する管や安定的に水を流すための取水放流設備の発注準備を進めていく」と答えた。
「地域建設業と関係構築」
■防災・技術導入を推進
地域の発展や安全確保のためにもインフラ整備は極めて重要と認識を示し、特に、激甚化する自然災害からの復旧復興は、行政・団体・企業・地域の連携体制構築が大事と話す山村所長。「行政として地域建設業界の皆さまの声にしっかり耳を傾け議論を重ね、良好な関係を築きながら互いに前進していきたい。災害発生時には、皆さま自身も被災している可能性がある。そのような中でも、地域のために頑張る姿をしっかり胸に刻み関係構築に努めたい」と語った。
業界における高齢化や担い手不足の課題に対しても、「働き方改革を通して週休2日や施工期間の短縮、デジタル技術の活用などを進め、若年層へ魅力ある建設業を発信する」と意気込みを語る。現在は、既にBIM/CIMなど3次元データの活用を取り入れており、今後も本体工事の4次元管理や建設重機の自動化など、新技術・ICT活用を検討しつつ、品質確保と事業効率化、コスト縮減を目指していく考え。
今年7月の本明川学識者懇談会では、総事業費を約730億円から約1080億円(約350億円増、B/C=1・2)に変更する事業計画案が承認された。計画案には、約26億円のコスト縮減策も盛り込まれており、山村所長は「策の一つとして、CSGダムの保護コンクリート型枠をプレキャスト型枠から鋼材を順次転用する置き型枠に変更する。人力の施工を機械化できるため、安全施工と工期短縮にも期待が持てる」と技術導入の意欲を示した。
「関係機関と連携した取組みを」
■ダム周辺の利活用を検討
さらに、同事務所は事業再評価の中で地域と連携した取り組みも紹介している。昨年度から諫早市や観光団体などと協議してきたダムを活用した賑わい創出事業として、今秋にインフラツーリズムを計画。
「現在、国直轄で動いているダム本体工事としては、九州で唯一の現場。もちろんダムだけではなく、諫早公園の眼鏡橋や諫早大水害の歴史、地域観光資源などとの組み合わせを関係者と一緒になって検討し、具体的な行程に移していきたい」と連携の意義を強く訴えた。
将来のダム周辺環境に関しても、「材料採取終了後の母材山跡地は、利活用にかかる大きなポイントになると考えられる。その母材山跡地を含めたダム周辺の環境や利活用について、市や地元の皆さまと連携して検討を進めていきたい」と説明。32年度の完成とその先の地域利用を見据え、関係者との対話を重ねながら〝地域に愛されるダム〟の実現を目指していくとした。











